分散投資と集中投資
前の記事では、投資信託の持つメリットとデメリットを紹介しました。そのメリットの一つは分散投資が手軽にできることです。
分散投資のメリットの一つは、リスクを減らすことです。集中投資のほうがハイリターンで、その分ハイリスクになります。
よく言われるのは、「一つのカゴにタマゴを盛るな」ということで、全てのタマゴが割れてしまうような運用はハイリスクです。
二つのカゴに持っておけば半分のタマゴは割れず、三つのカゴに持っておけば三分の二のタマゴは割れずに済みます。
個別株は集中投資に近く、投資信託は最初から複数の銘柄や商品に資金を分散して買い付けます。
そのため、投資信託は個別株よりもリスクを抑えることができます。
もちろん個別株でも、複数銘柄に投資すれば分散になりますし、単元未満株やミニ株といった小額投資もあって、投資金額をおさえてリスクを減らすこともできます。
ただ、複数銘柄の投資判断をするのは手間ですし、小額投資では手数料が余分にかかります。
複数の株を買った結果がリスク分散になったなら良いと思いますが、分散投資が目的なら、最初から投資信託の方が手軽で手数料も抑えられると思います。
分散投資のさらなるリスク分散
そもそも投資信託には分散効果がありますが、さらにリスク分散するなら、複数の投資対象を取り入れた方が良いと思います。
投資信託には、投資対象の違いだったり、組み込み資産の違いで別の値動きをするものがあります。
例えば、株式対象のものと債券対象のものでは、一般的に債券の価格が下がると株式の価格が上がる傾向があると言われていて、全く別の値動きをします。
ですので、複数の異なる投資信託を購入するのは分散投資につながりますし、株式や債券などの複数の対象を組み込んだバランス型の投資信託を運用するのも分散効果を高めます。
ナンピン(難平)買いでリスク分散
難を平にすると書いてナンピンと読む、その名もナンピン買いという投資の手法があります。
値上がりを予想する株をいったん購入した後、予想に反してその株価が値下がりしたときに行う買い増しのことで、値上がりしたときのプラスリターンがより大きくなることが期待できます。
直木賞作家で実業家でもあり、昭和から平成の時代に「金儲けの神様」と呼ばれた邱永漢さんが「ナンピンとは、株をやる人の原則」とおっしゃっています。
難を平らにするという言葉通り、リスクの分散になる投資法ですが、見込みが必ず当たるとは限りません。「下手なナンピン大けがのもと」という格言もあるので、鉄板の成功法則というわけではありません。
うまくいく難平は、買った株が値下がって割安になったから追加で買うというよりも、購入に当てるつもりの全額を一度にまとめて投資せず、もしも値下がりしたら追加投資をするという考えのように思います。
とは言え、上手に行えばナンピン買いは十分に効果が期待できます。そして、投資信託でもナンピン買いを行えば、投資信託の持つ幅広い投資対象への分散投資を、時間的にも分散投資することができます。
ドルコスト平均法で時間分散
ところで、投資信託では、ナンピン買いよりも「ドルコスト平均法」と呼ぶ分散投資が一般的だと思います。この手法はご存知でしょうか?
投資信託のような価格が上下する資産を、長期にわたって積み立て購入することが、「ドルコスト平均 法」の考え方になります。
価格が値下がりしても値上がりしても一定金額を購入していくので時間の分散になり、値下がりしたときに多くを買い増しすることになります。
一時的な振れがあっても右肩上がりに成長していく資産では、値下がりしたときの買い増し分が将来のリターンを高くしてくれます。
一定額を定期的に積み立てていくだけなので、余計な判断は必要ありません。「つみたてNISA」はドルコスト平均法を利用した王道の資産形成術だと思います。
というわけでまとめると、投資信託の得意とする分散投資をさらに分散させる方法は、複数の投資対象を取り入れることと、時間分散をすることと考えます。
ところで、何事にもデメリットはあってドルコスト平均法も例外ではありません。
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